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「せいじだよ・・」

「・・・・・」

「せいじだよ・・」

「・・・・・・・・・・」

「せいじだよばあちゃん・・」

「・・・・」

「せいじ今帰ってきたよ・・」

「・・・・」

「ばあちゃんせいじだよ・・」

「・・・・」

「ばあちゃん？・・」

「・・・・・・」

「わかる？」

「・・・」

「わかる？ばあちゃん？・・」

「・・・」

 

 

入院中のおばあちゃんが今日か明日かの瀬戸際

葬儀の時は帰ってきてくれ・・

 

と、父から連絡があった

 

今年の正月に会って

次に会うのは葬式の時と思っていたんですけど

 

可愛がってくれたおばあちゃんに

なんにもしてあげられなかったし、

優しい言葉もかけてあげられなかったので、

せめて生きている間にもう一度手をにぎってあげたい

 

葬式の連絡を待つという事は死の連絡を待つという事

死の連絡を待って帰省の準備しておくのも・・・

 

 

朝一番の飛行機で会いに行ってきました。

 

手をさすりながら

「せいじだよ・・」

「せいじだよ・・」

「帰ってきたよ・・」

「ばあちゃんせいじだよ・・」

「ばあちゃんせいじだよ・・」

「わかる？・・」

「わかる？・・」

 

髪の毛が薄くなった頭を

痩せてしまった頬を

何度さすっても顔を近づけても・・

 

数十分後

「せいじ？・・」

「せいじね？・」

口元に耳を寄せないと聞こえない声で

一言二言発してほほえんでくれました

 

よかった

本当によかった

声が聞けて本当によかった

 

仕事の都合で日帰りになりましたけど

近くもう一度長崎に帰る事になると思います。

 

自分にはそういう自覚が無かったのですが、

小さい頃、内孫で次男の僕を一番に可愛がってくれていたそうです。

 

「明日せいちゃんが帰ってくるらしいよ」

と、伯母が伝えると

声も出せなかったおばあちゃんが

口元をゆるめて何かつぶやいたらしい

 

会いに来て本当によかった

 

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